概要
Selective 2’-Hydroxyl Acylation analyzed by Primer Extension(SHAPE)法によって、
in vitro転写されたRNAの二次構造の解析を行う受託サービスです
SHAPE法とは
RNAは分子中で相補的な塩基同士で結合してループを形成する、あるいは一本鎖のままの部分もあるというように複雑な二次構造をとり、その構造はRNAの機能にとって重要であると考えられています。
SHAPE(SHAPE-MaP、Selective 2’-Hydroxyl Acylation analyzed by Primer Extension and Mutational Profiling)法は、RNA二次構造の柔軟性を1塩基レベルの解像度で測定する手法です。この手法では、2-Methylnicotinic acid imidazolide(NAI)と標的RNAを反応させた後に、逆転写によって合成したcDNA配列をシークエンシングします。
NAIはRNAに含まれる各塩基の2’-OH基と反応し付加体を形成する性質を持ち、RNA鎖の構造が緩んでいる(塩基対を形成せず、ループ構造または一本鎖となっている)部分においては一部の塩基がNAIと反応します。一方で、RNA二次構造中で塩基対を形成している部分には反応しません。NAIと反応した塩基には逆転写によって変異が誘発されるため、cDNAにおける変異の発生率をコントロール処理と比較することで、RNA二次構造中で塩基対を形成している部位を1塩基レベルで同定することができます。
SHAPE法は、NMRや結晶構造解析などの手法と比較すると、よりハイスループットな解析が可能で、かつ予測アルゴリズムよりも高い精度での構造同定が可能です。
特長
- 1塩基レベルの解像度でRNA二次構造中の塩基対形成、非形成を予測できます。
- 最小限のシークエンス深度で10,000×を超える、極めて深いRNAカバレッジが得られます。
- 高い精度と再現性が得られます。
本サービスでは、1μg以上の
in vitro転写RNAをご提供いただき、下記の手順で解析を行います。
- RNAを熱変性し、in vitroでリフォールディングさせる。
- NAIまたはDMSO(ネガティブコントロール)で処理し、クリーンアップ処理する。
- アダプター配列を付加し、逆転写によってcDNAを合成する。
- 合成したcDNAにさらにアダプター配列を付加する。
- PCRで増幅し、ライブラリーを調製する。
- 調製したライブラリーをシークエンシングする。NAI処理試料とDMSO処理試料の間でシークエンシング結果を比較し、標的RNAの各ポジションにおける変異の発生率をプロットする。
解析例
・大腸菌の23S rRNA(in vitro転写物)を用いた解析例
in vitro転写した23S rRNA 100ngを用いて解析を行った。シークエンシングはNAI処理およびDMSO処理したコントロールの両方から6回分の試料をそれぞれリード数約200万で行った。得られたリードは23S rRNA配列にアラインメントし、配列全体について変異の発生率を計算した。(
fig.3)
23S rRNA全長における、シークエンス深度(
fig.3)とNAI処理による変異の発生率(
fig.4)
(
fig.3)のグラフから、シークエンス深度は最も低い部位でも10,000×を超えており、極めて深いリード深度が得られていることが分かる。また、下段のグラフから、部位によって変異の発生率が異なっていることが分かる。SHAPE法では、この情報を元にRNA二次構造を推測する。
NAI処理とコントロール(DMSO)処理試料間の変異の発生率の比較(
fig.4)
6回の反復実験における変異の発生率を示したグラフ。NAI処理した試料ではDMSO処理と比較して変異の発生率が有意に上昇し、付加体形成が起きていることが示唆された。
・フェリチン軽鎖の解析例
FTL(フェリチン軽鎖)の5’UTRには、安定した鉄応答エレメント(IRE)構造が存在するが、変異によってIRE構造が破壊されると、疾病につながることが知られている。ここでは、
in vitro転写mRNAを用いてFTLの5’UTRに3種類の変異型を作製し、NAIとの反応性を検証した。(
fig.5)
変異型(赤、黄、青緑)と野生型(灰色)のNAIに対する反応性プロファイル(
fig.6)
作成した点変異を赤(U22G)、黄(C10U)、青緑(G4A)色で示した。
IREに相当する部分は灰色の背景色で示している。U22G変異(赤で示した変異型)においてIRE領域のNAI反応性が顕著に変化していることが分かる。