概要
Visium HD 空間的遺伝子発現解析は、組織構造をそのまま保持した状態で、細胞レベルの遺伝子発現情報をNGSベースにて取得できる革新的な技術です。本手法を用いることで、従来のバルク解析やシングルセル解析では失われがちであった「細胞の空間的な位置関係」を高精細に捉えることが可能となります。
解析内容
Visium HD WT パネルでは、FFPEブロックより切片スライドを作製し、HE染色を行い、画像を取得します。HE染色画像を確認いただき、解析領域を選択いただきます。シーケンスライブラリー調製、NovaSeqシーケンサー(Ilumina社)もしくはDNBシークエンサー(MGI社)にてシーケンスを実施し、Space Rangerを用いて情報解析を実施します。解析結果はVisium空間的遺伝子発現解析の結果を可視化するLoupe Browser(10x Genomics社のウェブサイトから無償でダウンロード可能)で閲覧・追加解析いただけます。
* FFPEブロック作製、スライド作製等の一連の作業において受託対応可能。
* FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド(10x Genomics社推奨スライド使用)での受付も可能です。
Visium HD専用スライドには、6.5 × 6.5mmのキャプチャーエリアが2領域搭載されており、それぞれの領域には約1,100万個の2 × 2µmサイズの正方形グリッドが敷き詰められています。各グリッドには固有のバーコードを持つオリゴヌクレオチドが配置されており、これにより単一細胞レベルに迫る空間分解能での遺伝子発現解析が可能になります。(
fig.2)
この高精細な空間情報と遺伝子発現データを統合することで、組織内での細胞の役割や相互作用をより深く理解でき、病態解明や創薬研究に大きく貢献することが期待されます。
特徴
・空間情報の保持:組織内の細胞を位置情報ごとに解析でき、細胞の配置や組織構造と遺伝子発現を統合的に理解可能。
・高解像度解析:2 × 2µmの正方形グリッドにより、単一細胞レベルに迫る空間分解能でのRNA発現解析を実現。
・組織形態との統合:HE染色画像や免疫染色画像と遺伝子発現マップを重ね合わせることで、形態学的特徴と分子情報を直接比較。
・広い解析領域:1枚のスライドで最大2領域(各6.5 × 6.5mm)の解析が可能で、大きな組織や複数サンプルの同時解析にも対応。
・幅広い応用:疾患研究、バイオマーカー探索、創薬研究など、基礎から臨床研究まで幅広く活用可能。
解析例
Visium HDで取得したデータは、専用ソフトウェア Space Ranger により前処理・解析され、その結果を Loupe Browser 9.0上で直感的に可視化できます。
ライブラリ調製前に組織切片をH&E染色し、その画像を遺伝子発現マップと重ね合わせることで、形態学的特徴(組織構造や細胞の分布)と分子情報(遺伝子発現パターン)を統合的に比較可能です。これにより、例えば特定の細胞集団の局在や、病変部と周辺部の遺伝子発現差異を明確に捉えることができます。(
fig.4)(
fig.5)(
fig.6)
解析可能なサンプル
| アプリケーション |
Visium HD WT パネル |
| サンプル |
FFPEブロック、FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド |
| 動物種 |
ヒトまたはマウス |
| 解析メカニズム |
全トランスクリプトームパネルのそれぞれの標的遺伝子に対するプローブを使用して組織中の発現遺伝子を検出します。 |
納品物
• 作業報告書
• シーケンスデータ(fastq)
• 解析データ(Space Ranger解析結果) 一式